技術書典16の振り返り

技術書典16で「だめぽラボ」としてサークル参加しました。振り返って色々書きます。

当日来てくださった方、オンラインで購入してくださった方、会場で差し入れしてくださった先輩と「趣味はデバッグ……」のお二人、新刊の表紙を描いてくださった610氏、そして小物の用意や売り子を手伝ってくれた妻に感謝します。

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時間ごとの売れ行き

当日の時間ごとの売れ行きの表です。

Haskell型レベル(紙)Haskell型レベル(電子のみ)Haskell競プロ(紙)Haskell競プロ(電子)浮動小数点数小話(電子)ClutTeX(紙)代数的数(電子)
11時台51121
12時台10251111
13時台1222
14時台61231
15時台11311
16時台6223
合計5041411046

オンラインでの売り上げは

  • Haskellでの型レベルプログラミング
    • 紙:31部
    • 電子:23部
  • 浮動小数点数小話
    • 電子:29部
  • Haskellで戦う競技プログラミング
    • 紙:9部
    • 電子:10部
  • ClutTeX
    • 紙:3部
  • 代数的数を作る
    • 電子:7部

という感じでした。

設営の様子

会場のスペースの様子はこんな感じでした。

昔参加した時と比べてスペースが広くなった(コロナ対策らしい)ので、布が足りていません。頒布物が多いと面積が広いのは楽ですが。

見本誌をスペースの端に置くと立ち読みの人が隣のスペースにはみ出すことがあるので、見本誌はなるべく真ん中の方においた方が良かったかもしれません。

前に別のサークルが決済用QRコードをでかく印刷していたのをパクって参考にして決済用QRコードをでかく印刷してみましたが、多くの人は公式のポストカードのやつをスキャンしていました。なので、スペースに余裕がなければ無理に用意する必要はないかもしれません。

どういうジャンルの本を頒布しているのか遠目で見てもわかるように、「Haskell」「浮動小数点」「LaTeX」「数学」などのキーワードをワードクラウドのような形で掲出しておくと良かったかもしれません。

新刊「Haskellでの型レベルプログラミング」について

過去の傾向から、100部くらいは印刷しても問題ないと判断しました。Haskell競プロ本は技術書典7では150部刷りましたが、今回は話題が高度なのでそこまで攻める気にはなりませんでした。

大まかな内容は前にZennで書いているので、新たに執筆する部分は少なく、スケジュールは割と余裕を持てたと思います。表紙の依頼が遅くなってしまったのは反省点ですが……。それでもページ数が多い本の10%早割で出せました(ページ数が多いと締め切りが早まります)。

値段について。今回は124ページで、Haskell競プロ本よりも厚いです。Haskell競プロ本は電子版800円、紙1000円でした。同様の値段にする(→紙版を現金で支払いやすい)か、少し高めにする(→現金だと小銭が要る)か悩みましたが、会場ではかんたん後払いが普及していると考えられることから、紙版を1200円にすることにしました。電子版はあまり紙版と価格差がありすぎると紙版が売れなくなってしまう可能性があるので、あまり価格差が出ないようにしました。

実際に会場で売れたのは紙の本が50部で、ぶっちゃけもう少し売れても良かったと思ったのですが、結構オンラインでも売れたので、最終的には期待した程度は売り上げる(=在庫を減らす)ことができました。ありがとうございました。

既刊について

2020年に書いた(技術書典9が初出の)浮動小数点数小話は電子版のみで出していました。既刊であること、どうせ印刷するなら別の機会に内容を拡充した新刊として出したい、などの思いから、紙の本を頒布することは見送りました。ただ、見本があった方が会場での販売上有利であると考えられることから、見本用にコピー本を用意しました。ホッチキスで留めるにはページ数が多そうだったので、無線綴じに挑戦しました。本を手作りするのは楽しかったです。

Haskellで戦う競技プログラミングは技術書典9に合わせて改訂版を50部刷っていましたが、技術書典9と10(いずれもオンラインのみ)で頒布したのは合計11部に留まっていました。今回ある程度売れて良かったです。

ClutTeX本は過去に増刷しすぎました。私が生きている間に売り切れることはないでしょう。今回売る前の時点で60部ありましたが、会場には30部だけ持って行きました。今後も細々と売っていきます。

代数的数を作る本は電子版だけですがちょいちょい売れていて、ありがたいです。

支払い方法

かんたん後払いが大半で、現金で売れたのは8部だけでした。現金の人は少ないと期待して用意したお釣りは最低限にしましたが、何とかなりました。新刊に1200円という中途半端な値段を設定できたのはかんたん後払いのおかげです。

価格設定についての考察

サークル主の気持ちとしては、紙版がなるべく売れて欲しいです。抱える在庫が少なくなるからです。電子版と紙版の間に価格差があると、「ちょっとだけ興味のある」読者が電子版に流れてしまう可能性が高まります。なので、電子版と紙版の価格差は小さい方が良いでしょう。

現在の技術書典では電子版が必須ですが、過去の技術書典ではそうではありませんでした。実際、私の「代数的数を作る」は当初は「電子版単体」「紙版単体」「電子と紙のセット」で売っており、この順番で値段が高くなるようにしていました。しかし、今から思うとこれは失敗でした。「紙版単体」は「電子版単体」よりも高いにも関わらず電子版が付属しない(上位互換になっていない)ので、読者がどちらか迷って「電子版単体」を選ぶ可能性があるからです。電子版を用意するなら紙の本にもセットでつけるべきです。

紙の同人誌を追加で印刷するときに赤字にならないような価格設定も重要です。紙の同人誌を印刷するときは部数が多いと割安になりますが、売れなければ在庫になります。在庫として抱えられる分を見極めて印刷部数を決めるのが良いでしょう。例えば、20部とか30部くらいの在庫を許容できるのであれば、30部印刷するときの値段を見て、30部単位で追加印刷すると良いでしょう。そうすると30部単位で印刷しても赤字にならないような価格設定が必要です。

その他

前に作っただめぽラボステッカー(シール)がなくなったので、今回新たに発注しました。今度は再剥離するやつです。貼って剥がせるはずです。

頒布はしませんが、アクリルスタンドも作りました。

だめぽラボの次回作にご期待ください

書きたいネタは色々あります。浮動小数点数のもっとしっかりした本を書きたいです。作ってわかるTeX言語的な本も書きたいです(近くのサークルがTeX言語の本を頒布していたので、俺もやってやるか、という感じです)。前に書いた代数的数のやつのように、数学チックな内容を書くのも良いかもしれません。

何にせよ、普段からコツコツと原稿を書いておくのが良さそうです。今回も既にZennで書いたやつを本にした感じです。頑張ります。