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TeX, LaTeX 関連の記事

LaTeX数式 to MathML を考える

モチベーション

Web で数式を表示するための仕様として、 MathML というものがある。ただ、 MathML はブラウザーの対応がイマイチなので、もっぱら MathJax や KaTeX などの JavaScript で書かれた代替手段を使うことが多いだろう。しかし、 EPUB の場合は標準的な数式記述方法は MathML なので、 LaTeX 数式を MathML に変換する必要がある。

そこで、「LaTeXで記述された数式をMathMLに変換する」ことを考える。

(尤も、 Kindle は MathML に対応していなかったり、EPUBリーダーで多く採用されていると思われる WebKit 系のレンダリングエンジンでどれほどの見た目になるのかという問題がある。しかし、それらの問題はおいておく。)

この記事では LaTeX で書かれた単体の数式を対象とし、 LaTeX 文書をまるごと HTML+MathML に変換することはここでは扱わない。また、可換図式など、 MathML が扱っていなさそうな対象は扱わない。 続きを読む

LuaTeX における外部コマンド実行とログ出力

前置き

LuaTeX 以前の TeX 処理系では \write18 によって TeX 文書中から外部コマンドを実行できた。しかし、 LuaTeX では Lua の機能 (os.execute) によって外部コマンドの実行ができるため、現在の LuaTeX からは \write18 による外部コマンド実行機能は削除されている。

詳しくは以下のブログ記事を参照されたい:

新しい LuaTeX だって \write18 したい – マクロツイーター

対策 (2) :外部コマンドが実行されない → shellesc パッケージ!

要するに、 shellesc パッケージを使えば \write の定義が書き換えられて、従来の \immediate\write18 がそのまま動く。\ShellEscape, \DelayedShellEscape というコマンドも提供されている。(\immediate なしの \write18 相当のことをするには \write18 そのままではなく \DelayedShellEscape を使う必要がある)

また、pdftexcmds パッケージで提供されている \pdf@system コマンドを使うという手もある。

というわけで、一般の利用者および LaTeX パッケージを書く人にとっては、これらは既に済んだ話である。しかし、TeX の実行を補助するツールを作る人にとっては、話はまだ終わっていない。

本題:ログファイルへの出力

従来の \write18 によるコマンド実行の場合は、ログファイルに、実行したコマンドが

runsystem(ほにゃらら)...executed.

という感じで書き出されていた。このような実行ログは、 TeX の実行を補助するツールにおいて役に立つ場合がある。

しかし、LuaTeX における os.execute はログファイルに何も出力しない。これは困る。

LuaTeX で外部コマンド実行の際にログファイルにコマンドを吐き出すようにするには、

  • \write18 の代替となるコマンドで、ログを出力するようにする
  • LuaTeX の os.execute を乗っ取って、ログ出力も行うようにする

という手段が考えられる。(LuaTeX 本体の os.execute の定義を書き換えるのは、ハードルが高そうなので考えないことにする)

\write18 の代替となるコマンドでの対処

pdftexcmds パッケージの \pdf@system コマンドは、既に、実行時に

system(ほにゃらら) executed.

というメッセージを出力するようになっている。微妙に書式が違うが、まあ十分だろう。

一方で、 shellesc パッケージが提供する \write18 および \ShellEscape, \DelayedShellEscape コマンドは、実行するコマンドを書き出すという処理は特に行なっていない。

以前書いたような外部コマンドを実行する LaTeX パッケージのうち、 epstopdf パッケージは pdftexcmds パッケージの \pdf@system コマンドを使うので、ログファイルを調べることで実行されたコマンドを取得することができる。

epstopdf 以外の外部コマンドを実行する LaTeX パッケージは、基本的に「shellesc パッケージを読み込みつつ、従来通り \immediate\write18 を使用」していると思われるので、実行されたコマンド文字列をログファイルから取得する手段がない。

外部コマンドを実行するパッケージが、 shellesc パッケージに頼らずに直接 \directlua していた場合も同様である。

os.execute を乗っ取る

Lua コードによって os.execute の定義を置き換えてしまえば、 shellesc パッケージが使われていようが、直接 \directlua していようが、実行されるコマンド文字列を取得できる。

というわけで、 TeX 文書を処理する際に次のような TeX コードを実行しておけば、既存の TeX エンジンと同様にログファイルに出力してくれる:

\directlua{
local e=os.execute
if e then
  local s=status.shell_escape or e()
  local function h(c,r,...)
    if c then
      texio.write_nl("log","runsystem("..c..")..."..(s==0 and"disabled"or(s==1 and"executed"or(r==nil and"disabled (restricted)"or"executed safely (allowed)")))..".\noexpand\n")
    end
    return r,...
  end
  function os.execute(c)
    return h(c,e(c))
  end
end
}

(LuaTeX で外部コマンドを実行する関数は、 os.execute 以外にもいくつか存在するが、見なかったことにする。どうせ使われてないよね…?)

余談:os.execute の仕様

本家 Lua の os.execute の戻り値の仕様は、Lua 5.1 と Lua 5.2 で少し変化している。具体的には、 Lua 5.1 では C の system 関数の戻り値を整数としてそのまま返していたのが、 Lua 5.2 では、(POSIX の場合に)POSIX の仕様に沿って system 関数の戻り値を解釈するようになった。

LuaTeX はと言うと、ベースとなっている Lua のバージョンは 5.2 なのだが、 os.execute 関数の戻り値の仕様は Lua 5.1 当時のままである。

LuaTeX の os.execute 関数は本家 Lua のものではなく、独自に実装されたものなので、使用する Lua を 5.2 にアップグレードする際に変更し忘れたか、あるいは既存の Lua コードの互換性を考えてそのままにしたのだと思われる。

LuaTeX における os.execute 関数の実装は loslibext.c というファイルに入っている。

TeX における日付と時刻

LaTeX 文書中に \today と書くと latex コマンドを実行した日付が出てくる。このことから分かるように、 TeX 文書中では何らかの形で現在時刻を取得できる。では実際のところ、時刻に関してどの程度の情報を取得できるのか。また、 TeX 文書に与えられる「現在時刻」を変更することはできるだろうか。 続きを読む