月別アーカイブ: 2015年4月

Aterm MR03LNを一ヶ月ほど使った感想

Aterm MR03LNを買ってから一ヶ月ほどが経って、実際の使用感も大体分かってきた。

Bluetooth接続

普通のWi-Fi接続とは排他的に使うようになっていて、本体のタッチパネルまたはスマートフォン・タブレットのアプリで切り替えられる。

Bluetooth接続はWi-Fiと比べるとやはり遅い。Googleマップを表示させると遅さを感じる。

面倒な点としては、ルーターの電源投入後、あるいはWi-Fiからの切り替え後、タブレットを操作して手動でつなぎに行かないといけない。

AndroidのNexus 7ではBluetooth機器を個別に切断できるが、iPadだとそういうのはできないので注意

2016年4月27日追記:いつの間にかiOSでもBluetoothアクセサリの「接続解除」(ペアリング解除ではない)ができるようになった。参考:他社製の Bluetooth アクセサリを設定して使う – Apple サポートの「Bluetooth アクセサリの接続を外す」

Wi-Fi接続

言うことなし。5GHz帯にも対応しているようだが、試してない。

リモート起動

起動するのにルーターに触らなくてもいいのは便利。Wi-Fiで繋ぐようにしていれば、起動後自動でつながってくれる。

電池の持ち

そんなにヘビーな使い方をしなければ、外出している間は持つ。

付属のクレードルに置いても、USBケーブルの挿し方が悪いのか充電されていないことがあった。(充電状態になればクレードルのランプが点灯するので、クレードルに置いた時に充電されているかチェックできる)2016年4月27日追記:この現象は結局、使っていたUSBケーブルの問題だった。クレードルは悪くなかった。

IPv6

IIJmioのSIMなので普通にIPv6で繋がるっぽい。IPv6だからといってこれといったメリットを感じているわけではないが。

IIJmioとかのサイトにアクセスすると「CONNECTED via IPv6」と出る。

TypeScript 1.5でのlet文

ECMAScriptの変数のスコープが不思議な挙動をするのはよく知られた話だ。ECMAScript 5での変数のスコープは以下のいずれかに大別される(はず)。ブロックスコープがない。

  • グローバルスコープ
  • 関数スコープ
  • catchスコープ

普通に使う変数が関数スコープしかないのは不便、ということで、MozillaはJavaScript 1.7(2006年頃)でlet文を導入した。が、しかし、他のブラウザには普及せず、Mozillaの独自拡張に留まることになった。

時は過ぎ、ECMAScript 5が制定され、次はECMAScript 6という流れになってきた。そして、ECMAScript 6にはlet文が導入されることになった(MozillaがJavaScript 1.7で導入したものとは微妙に仕様が違う)。めでたしめでたし。

ECMAScriptに静的型を付けたTypeScriptは、当初はlet文をサポートしていなかった。それが、TypeScript 1.4で、ECMAScript 6へコンパイルする場合のみlet文をサポートするようになった。

が、ECMAScript 6(のlet文)に対応していないブラウザはまだまだたくさんある(今調べてみたら、IE11ではES6のlet文に対応しているけど、Safariでは対応していないようだ)。できれば、TypeScriptのようなaltJS言語でlet文を使いつつ、コンパイル後のJavaScriptでは従来のvarを使ってほしい。

が、let文を従来のJavaScript (ECMAScript 5)に変換するのはそう自明なことではない。特に問題になるのは、ループ内の変数を、ループの外に持ち出される関数で使っている場合だ。[code lang=”js”]
var a = [];
for (var i = 0; i < 5; ++i) {
let x = i * i;
a.push(function() { return x; });
}
[/code]上のコードを下のように単純にvarを使うと挙動が変わってしまう。[code lang=”js”]
var a = [];
for (var i = 0; i < 5; ++i) {
var x = i * i;
a.push(function() { return x; });
}
[/code]このコードを正しくECMAScript 5に翻訳するには、即時実行関数(IIFEを使って以下のようにしなければならない。[code lang=”js”]
var a = [];
for (var i = 0; i < 5; ++i) {
(function() {
var x = i * i;
a.push(function() { return x; });
}());
}
[/code]こういう非自明、というかパフォーマンスに影響するところがあるので、TypeScript 1.4ではES5へのコンパイル時にlet文がサポートされなかったのだろう。

が、しかし、TypeScript 1.5ではES5へコンパイルする場合でもlet文が部分的にサポートされるようになるようだ。「部分的に」というのは、ループが絡まない、変数のスコープのチェックと名前の変更で済む場合、のようだ。[code lang=”js”]
{
let x = 123;
console.log(x); // OK
}
console.log(x); // エラー
[/code]
ループが絡む、IIFEを使った変換が必要な場合は、

test2.ts(2,1): error TS4091: Loop contains block-scoped variable 'x' referenced by a function in the loop. This is only supported in ECMAScript 6 or higher.

というエラーが出た。
[code lang=”js”]
let a: Array<() => number> = []
for (var i = 0; i < 5; ++i) {
let x = i*i;
a.push(() => x);
}
a.forEach(console.log);
[/code]

GitHubでの該当するIssue/Pull Requestは以下のようだ。

let文のサポートとしては不完全とはいえ、varの関数スコープのせいで意図しない同名の変数を参照していた〜〜みたいな事故は防げると思われるので、積極的に使っていきたい。

ガンマ関数の計算(Lanczos近似)

ガンマ関数とは、みなさんおなじみの、

  • \(\Gamma(z+1)=z\Gamma(z),\)
  • \(\Gamma(1)=1,\)
  • \(x>0\) に対し \(\log\Gamma(x)\)は凸

を満たす \(\def\Complex{\mathbf{C}}\Complex\) 上の有理型関数である。\(\DeclareMathOperator\Re{Re}\Re z>0\) に対しては、以下の積分表示がある。\[
\Gamma(z)=\int_0^\infty t^{z-1}e^{-t}dt
\]

階乗 \(n!\) との関係は\[
n!=\Gamma(n+1)
\]となる。

重要な公式としては、反転公式\[
\Gamma(1-z)\Gamma(z)=\frac{\pi}{\sin\pi z}
\]がある。特に、\(z=\frac{1}{2}\) とおけば \(\Gamma\left(\frac{1}{2}\right)=\sqrt{\pi}\) が得られる。

さて、コンピューターでガンマ関数の値を数値的に計算するにはどうすればいいのか。指数関数とか三角関数だとかは分かりやすい冪級数表示があったから良かったが、ガンマ関数にはそういうのはないのか。

いろいろググって調べた結果、ガンマ関数の近似方法として、Lanczos近似というのがあるらしい。が、ググっているだけではいまいちその実体が釈然としないし、導出方法もよくわからない。なので、Lanczosの原論文(1964)を読むことにした。大学院生という身分は便利なもので、大学の図書館でその論文にアクセスできた。

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