投稿者「mod_poppo」のアーカイブ

ガンマ関数の計算(Lanczos近似)

ガンマ関数とは、みなさんおなじみの、

  • \(\Gamma(z+1)=z\Gamma(z),\)
  • \(\Gamma(1)=1,\)
  • \(x>0\) に対し \(\log\Gamma(x)\)は凸

を満たす \(\def\Complex{\mathbf{C}}\Complex\) 上の有理型関数である。\(\DeclareMathOperator\Re{Re}\Re z>0\) に対しては、以下の積分表示がある。\[
\Gamma(z)=\int_0^\infty t^{z-1}e^{-t}dt
\]

階乗 \(n!\) との関係は\[
n!=\Gamma(n+1)
\]となる。

重要な公式としては、反転公式\[
\Gamma(1-z)\Gamma(z)=\frac{\pi}{\sin\pi z}
\]がある。特に、\(z=\frac{1}{2}\) とおけば \(\Gamma\left(\frac{1}{2}\right)=\sqrt{\pi}\) が得られる。

さて、コンピューターでガンマ関数の値を数値的に計算するにはどうすればいいのか。指数関数とか三角関数だとかは分かりやすい冪級数表示があったから良かったが、ガンマ関数にはそういうのはないのか。

いろいろググって調べた結果、ガンマ関数の近似方法として、Lanczos近似というのがあるらしい。が、ググっているだけではいまいちその実体が釈然としないし、導出方法もよくわからない。なので、Lanczosの原論文(1964)を読むことにした。大学院生という身分は便利なもので、大学の図書館でその論文にアクセスできた。

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Aterm MR03LNを買った

半年前から、外出先でインターネットに接続するためにIIJmioのMVNO回線とPocket WiFiの端末(GL02P)を使っていたが、このGL02Pは2年使った後なので電池が死んでいて、しかも元々イーモバイル用の端末だから、NTTドコモの一部の周波数帯に対応していない。

じゃあ新しいモバイルルーターを買おう!となるのだが、GL02P+モバイルバッテリーでも最低限には使えるし、代わりのモバイルルーター(自分の中で)第一候補のAterm MR03LNの価格が2万3千円ほどするので、なかなか買うタイミングが見つからなかった。

しかし、数日前(24日)にAterm MR03LNの価格を調べたらAmazonでタイムセールをやっていて、1万5千円と安くなっていたので、迷わずポチってしまった。しかもクレードル付き。(OCNモバイルONEのSIMとのセットだが、そっちのSIMは無視するものとする)(この記事を書いている現在は価格は元に戻ってしまったようだ)

Aterm MR03LNの製品情報はAtermMR03LN | 製品一覧 | AtermStationで見られる。自分が重視したポイントは、

  • LTE対応。(今じゃ当たり前か)
  • FOMAプラスエリアや、LTEの800MHz帯にも対応。
  • Bluetoothテザリング(PAN)に対応。(Wi-Fiより低速だが消費電力が低い)(ただ、ネットで評判を見るとそこまで期待してはいけない?)
  • IPv6対応。(IIJmioのSIMと組み合わせるとIPv6でインターネットに繋がる)

あたりか。

以下のアプリを使うと、このモバイルルーターの電波状態・バッテリー残量等を確認できる。

それから、休止状態にしたMR03LNをスマートフォンやタブレットのアプリで「リモート起動」できるようだ。しかし、「MR03LNのリモート起動」と「スマートフォン・タブレットからのWi-Fi/Bluetoothでの接続」が連携する訳ではないので、ないよりマシとはいえ、使い勝手はそこまで良くないか。(「リモート起動」した後、スマートフォン・タブレットでMR03LNに接続するまでの間、アプリからは何も操作できない状態になる)

以下、パッケージの写真。

本体、電池パック、裏蓋とクレードルの他に、ACアダプターとUSBケーブルとLANケーブルが付属するが、これらは手持ちのものを使うつもりなので、多分開封しないだろう。

そろそろ、携帯機器に付属するACアダプターとUSBケーブルが、「プリンターに付属するUSBケーブル」のポジションになっている気がするが、付属をやめる動きはないのだろうか。(Nexus 7を買った時のACアダプターとUSBケーブルも封印したままな気がする)

クレードルに装着。クレードルにはLAN端子があって、MR03LNをルーターとして使えるらしい。本体のUSB端子でパソコンにつなぐとパソコンからはネットワークインターフェースに見えるようだが、クレードルのUSB端子ではそういうのはできないようだ。充電用に「ケーブルを差す」よりは「クレードルに置く」方が楽だ。


Pocket Wifi (GL02P)と並べてみた。

MR03LNの方が縦横が大きいが、薄い。重量はそれほど変わらないが、気持ちMR03LNの方が軽い。

GL02Pにはイーモバイル時代を含めて2年半お世話になったが、これでお役御免だ。

東大入試理系数学2015第5問(解いてみた)

暇だったから[要出典]今年の東大の入試問題数学の問題に目を通してみた。問題文はこのへんこのへんで参照できるようだ。

ツイッターでの評判を見る感じ、第5問と第6問が話題になっていて、第5問は整数問題、第6問は(大学の)解析学で出てくる概念に関係あるみたいな感じだった。第5問のが問題文が短い(問題文が長いと読むのが面倒くさい)のでとりあえず第5問を解いてみる。

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Macのストレージを空けた

今使っているMacはMacBook Proの256GBフラッシュストレージモデルで、いくらでもファイルを保存できるという感じではない。購入から1年近く経った今、90%以上の領域を使ってしまっている。そこで、使用頻度の低いファイルを外付けHDDに追い出したり、使わなくなった古いバージョンのソフトウエアを積極的に削除していくということが必要になる。

Haskell Platform

~/Library/Haskell 以下にいろいろ入っている。
$ du -h -d 2 Library/Haskell で調べた感じ、古いGHC 7.6.3が1.3GBほど占めているようだった。なので古いGHCを消す。
手順はMac OS X – HaskellWikiをみた限りでは uninstall-hs コマンドを使えばいいらしい。

$ du -h -d 2 Library/Haskell
144K	Library/Haskell/bin
 26M	Library/Haskell/doc
1.3G	Library/Haskell/ghc-7.6.3/lib
1.3G	Library/Haskell/ghc-7.6.3
3.2G	Library/Haskell/ghc-7.8.3/lib
3.2G	Library/Haskell/ghc-7.8.3
188K	Library/Haskell/logs
203M	Library/Haskell/repo-cache/hackage.haskell.org
156M	Library/Haskell/repo-cache/hdiff.luite.com
359M	Library/Haskell/repo-cache
4.9G	Library/Haskell
$ uninstall-hs -v
-- Versions found on this system

7.6.3
    /Library/Frameworks/GHC.framework/Versions/7.6.3-x86_64
    /Library/Haskell/ghc-7.6.3
    /Users/*/.ghc/x86_64-darwin-7.6.3
    /Users/*/Library/Haskell/ghc-7.6.3

7.8.3
    /Library/Frameworks/GHC.framework/Versions/7.8.3-x86_64
    /Library/Haskell/ghc-7.8.3
    /Library/Haskell/ghc-7.8.3-x86_64
    /Users/*/.ghc/x86_64-darwin-7.8.3
    /Users/*/Library/Haskell/ghc-7.8.3

-- To remove a version and all earlier: uninstall-hs thru VERSION
-- To remove only a single version:     uninstall-hs only VERSION

$ uninstall-hs only 7.6.3
-- Would remove just version 7.6.3
/Library/Frameworks/GHC.framework/Versions/7.6.3-x86_64
/Library/Haskell/ghc-7.6.3
/Users/*/.ghc/x86_64-darwin-7.6.3
/Users/*/Library/Haskell/ghc-7.6.3
/Users/*/Library/Haskell/bin/cpphs@ -> ../ghc-7.6.3/lib/cpphs-1.18.4/bin/cpphs
/usr/bin/ghc-7.6.3@ -> /Library/Frameworks/GHC.framework/Versions/7.6.3-x86_64/usr/bin/ghc-7.6.3
/usr/bin/ghc-pkg-7.6.3@ -> /Library/Frameworks/GHC.framework/Versions/7.6.3-x86_64/usr/bin/ghc-pkg-7.6.3
/usr/bin/ghci-7.6.3@ -> /Library/Frameworks/GHC.framework/Versions/7.6.3-x86_64/usr/bin/ghci-7.6.3
/usr/bin/haddock-ghc-7.6.3@ -> /Library/Frameworks/GHC.framework/Versions/7.6.3-x86_64/usr/bin/haddock-ghc-7.6.3
/usr/bin/runghc-7.6.3@ -> /Library/Frameworks/GHC.framework/Versions/7.6.3-x86_64/usr/bin/runghc-7.6.3
-- To actually remove these files, sudo run the command again with --remove
-- To generate a script to remove these files, run the command again with --script

$ sudo uninstall-hs only --remove 7.6.3
Password:
-- Removing just version 7.6.3

そもそも今インストールされているGHC 7.8.3も最新版じゃないという気がするが。

TeX Live (MacTeX)

古いTeX Live 2013が入っていたので消す。確かMacTeXで入れたような気がするので、このへんを読んでおく。普通に /usr/local/texlive/2013 を消せばいいみたい。

$ du -d 1 -h /usr/local/texlive
4.4G	/usr/local/texlive/2013
4.5G	/usr/local/texlive/2014
4.0K	/usr/local/texlive/texmf-local
8.9G	/usr/local/texlive
$ sudo rm -rf /usr/local/texlive/2013

その他

Homebrewで入っている古いソフトウエアを消したりMacPortsで入っている古いソフトウエアを消したり、Dropboxで同期しているでかくて使用頻度の低いファイルを同期しないようにしたりいろいろ

コマンドラインでJPEGファイルのEXIF情報を取り除く

Webに写真を載せる時とかにEXIF情報は削除しておきたい。

以前はImageMagickのconvertコマンドで convert -strip とやっていたがどうやらこれは画像の再圧縮がかかるようだ(strip後の方がファイルサイズが大きくなったりする)。

ググったらそれっぽいStack Overflowの質問が出てきたのでメモしておく。

何種類か回答が寄せられているが、自分の環境にはexiv2を入れた覚えがあったのでexiv2の方法をやってみた。コマンドは

$ exiv2 rm (JPEGファイル)

となる。JPEGファイルは上書きされるので注意。

MacPortsを使っていればexiv2は $ sudo port install exiv2 で入るはず。

Idrisの有界な自然数で遊んでみる(1) — 証明をつける

前回:Idrisの有界な自然数で遊んでみる(0)

前回はIdrisで「有界な自然数の冪乗を計算する」finPower2 : Fin n -> Fin (power 2 n) という関数を実装したが、いくつか後回しにした証明があった。今回はIdrisの証明支援機能を使ってこれを埋める。

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Idrisの有界な自然数で遊んでみる(0)

プログラミング言語Idris自体についての詳しい話はここではしない。このブログの昔の記事で軽く紹介したかもしれないが他人の参考になるかは分からない。

この記事を読むにあたっては、

  • ペアノ算術

は知ってないと厳しいと思われる。あとHaskell風の言語にも慣れていた方がいいか。

この記事で使うIdrisのバージョンは0.9.16である(執筆時点の最新版)。これと異なるバージョンだとコードの修正が必要かもしれない。

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Union Typesは直和型ではない

【2017年12月18日 追記】この記事は古いTypeScript (2.0以前) を念頭に置いている。もちろん、現在のTypeScriptにも当てはまる記事はあるだろうし、TypeScript以外の言語における合併型 (union types) についてもある程度読み替えられるかもしれない。ただしElmとは “Union Types” の用法が完全に相入れないのでElmユーザーの方はお帰りください。


TypeScript 1.4について、 TypeScript 1.4.1 変更点 – Qiita という記事が目に留まった。で、その中の
直和型(Union Types)
という項目に引っかかりを感じた。:

なぜ引っかかりを感じたかというと、TypeScriptに今回導入されたUnion Typesと、巷に言う直和型というのは、異なる概念であるからだ。

注意:以下の話は型理論の専門家でもないフツーの学生が適当に書いた程度の信憑性しかありません。

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TypeScript 1.4がいい感じ

TypeScript 1.4がリリースされた。目玉機能としては Union Types とか ECMAScript 6 出力モードの搭載とかになるのだろうが、他にもいろいろ地味だが嬉しい機能追加などがあるようだった。

前にTypeScriptで組み込みオブジェクトを拡張できないというようなことを書いたが、そのとき感じた問題点が直っている。具体的には以下。

  • 各種組み込みオブジェクトのコンストラクタの型が interface ほにゃららConstructor というものに変更されている。よって、各種組み込みオブジェクトのコンストラクタに勝手なプロパティーを追加できる。
  • ECMAScript 6 で追加される関数の型定義が追加されている。つまり、自前で組み込みオブジェクトの型定義をいじらなくていい。(ECMAScript 6 出力モードで使えるようになるようだ)

あと地味に便利だと思ったのはコンパイラ tsc に追加された --noEmitOnError というオプションである。今まではソースコードが解釈さえできれば型チェックが通らなくても ECMAScript の出力が生成(!)されていて、Makefile で TypeScript のコードをコンパイルする時に不便だった。だが、このオプションがあれば型チェックが通ったコードしか出力されないので、Makefile との相性が上がる。

Rustから直接C++を叩いてみる

プログラミング言語Rustのα版が出たので遊んでみようかなという。(と言ってやってることはRustである必要性が全然ないけど)

ここで使っている環境はOS X 10.9.5 (アーキテクチャはx86_64)で、C++コンパイラはClangである。ここでやっているのは激しく環境依存なのだが、まあでもコンパイラがGCCかClangなら多くの環境で上手くいくんじゃないかと思う(知らん)。

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