f を一次分数変換という: f(z)=\frac{az+b}{cz+d},\quad \text{ただし \(ad-bc\ne0\).} 分母が0になるとき(z=-d/c のとき)は f(z) の値は複素数としては定まらない、のだが、値が複素数であることにこだわらなければここは \infty としておくのが都合がいい。逆に、z=\infty のときは、(z\to\infty の極限を考えれば分かるように)f(z) の値は a/c として定義できそうである。何がいいたいかと言うと、一次分数変換は、複素平面の関数というよりは、複素平面に「無限遠点」を加えたもの \Complex\cup\{\infty\} の関数をみるのが自然である。
次の形をした複素関数複素平面に無限遠点を加えたもの \Complex\cup\{\infty\} は、球面と同一視できる(こうやって同一視したものをリーマン球面という)。球面上の点 P に複素平面の点 z をどう対応させるかというと、球の北極 (0,0,1) から P に直線を引いて、その直線が複素平面と交わる点 z を対応させる。逆に、複素平面の点 z に対しては、z と北極 (0,0,1) を結ぶ直線を引いて、それが球面と交わる(北極じゃない方の)点 P を対応させる。北極に対応する点は複素平面上にはないので、北極には無限遠点 \infty を対応させる。この対応を立体射影(stereographic projection)という。
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