SO(2) と SO(3) が弧状連結であることの簡便な(?)証明

\(\def\Real{\mathbf{R}}\def\Complex{\mathbf{C}}\newcommand{\ip}[2]{\left\langle #1,#2\right\rangle}\newcommand{\vect}[1]{#1}\def\Ker{\operatorname{Ker}}\newcommand{\restrict}[2]{\left.#1\right\rvert_{#2}}\newcommand{\transpose}[1]{{#1}^T}\newcommand{\abs}[1]{\left\lvert #1\right\rvert}\)特殊直交群 \(SO(n)\) が(弧状)連結であることを示すのはこの記事に書いたやり方がおそらく正攻法なのだろうが、次元が低い時はもっと短い議論でできるんじゃないかなあと思った。

命題. \(SO(2)\) の元 \(A\) は次の形に書ける。\[
A=\begin{pmatrix}
\cos\theta&-\sin\theta \\
\sin\theta&\cos\theta
\end{pmatrix}
\]
証明. \(A\) を成分表示して \(SO(2)\) の条件の式に代入してガリガリ計算すればわかる。
定理. \(SO(2)\) は弧状連結である。
証明. さっきの命題を使えば簡単。

命題. \(SO(3)\) の元 \(A\) は適当な直交行列 \(P\) によって次の形に書ける。\[
A=P\begin{pmatrix}
1&0&0\\
0&\cos\theta&-\sin\theta \\
0&\sin\theta&\cos\theta
\end{pmatrix}P^{-1}
\]
証明. まず、以下の主張を示す。

主張. \(1\in\Real\) は \(A\in SO(3)\) の固有値である。
証明. \(A\) の固有多項式が、複素数の範囲で以下のように因数分解できるとする。\[
\det(A-\lambda I)=(\lambda-\lambda_1)(\lambda-\lambda_2)(\lambda-\lambda_3)
\]\(A\) の固有多項式 \(\det(A-\lambda I)\) は実数係数の3次多項式なので、\(\lambda_i\) の少なくとも一つは実数である。\(\lambda_1\) が実数だとしよう。また、\(\lambda_2\) が虚数だとすればその共役 \(\overline{\lambda_2}\) も固有多項式の根なので、\(\lambda_3=\overline{\lambda_2}\) となる。

\(\vect{a}_i\in\Complex^3\) を、\(A\) の固有値 \(\lambda_i\) の固有ベクトルとする。つまり\[
A\vect{a}_i=\lambda_i\vect{a}_i,\quad \vect{a}_i\ne0
\]が成り立つ。このとき\[
\ip{\vect{a}_i}{\vect{a}_i}=\ip{A\vect{a}_i}{A\vect{a}_i}=\ip{\lambda_i\vect{a}_i}{\lambda_i\vect{a}_i}=\abs{\lambda_i}^2\ip{\vect{a}_i}{\vect{a}_i}
\]なので、\(\abs{\lambda_i}^2=1\) がわかる。

\(A\) の行列式は1なので、\(\lambda_1\lambda_2\lambda_3=1\) である。

\(\lambda_1,\lambda_2,\lambda_3\) がすべて実数の場合、\(\abs{\lambda_i}^2=1\) より \(\lambda_i=\pm1\) だが、\(\lambda_1\lambda_2\lambda_3=1\) より、これらのうち少なくとも1つは1である。

\(\lambda_2,\lambda_3\) が虚数の場合、\(\lambda_2=\overline{\lambda_3}\) より \(\lambda_2\lambda_3=\abs{\lambda_2}^2=1\) である。よって \(\lambda_1\lambda_2\lambda_3=1\) より \(\lambda_1=1\) である。

以下は全て実数・実係数で議論する。

\(A\) の固有値1の固有ベクトル \(\vect{a}\in\Real^3\) を1つとる。そのベクトルを適当にスカラー倍して長さを1にしたものを \(\vect{e}_1\) とおく。\(\vect{e}_2,\vect{e}_3\in\Real^3\) を、\(\vect{e}_1,\vect{e}_2,\vect{e}_3\) が \(\Real^3\) の正規直交基底になるように選ぶ。\(\vect{e}_2,\vect{e}_3\) を \(A\) で送った先を、実数 \(a_{ij}\) を使い\begin{equation}
\begin{split}
%A\vect{e}_1&=\vect{e}_1, \\
A\vect{e}_2&=a_{12}\vect{e}_1+a_{22}\vect{e}_2+a_{32}\vect{e}_3, \\
A\vect{e}_3&=a_{13}\vect{e}_1+a_{23}\vect{e}_2+a_{33}\vect{e}_3
\end{split} \label{eq:A-basis-e}
\end{equation}と書く。すると、\begin{align*}
0=\ip{\vect{e}_1}{\vect{e}_2}
&=\ip{A\vect{e}_1}{A\vect{e}_2} \\
&=\ip{\vect{e}_1}{a_{12}\vect{e}_1+a_{22}\vect{e}_2+a_{32}\vect{e}_3} \\
&=a_{12}\ip{\vect{e}_1}{\vect{e}_1}+a_{22}\ip{\vect{e}_1}{\vect{e}_2}+a_{32}\ip{\vect{e}_1}{\vect{e}_3} \\
&=a_{12}
\end{align*}より、\(a_{12}=0\) が分かる。同様に \(a_{13}=0\) が分かる。

これを踏まえると、式(\ref{eq:A-basis-e})は\begin{equation}
\begin{split}
%A\vect{e}_1&=\vect{e}_1, \\
A\vect{e}_2&=a_{22}\vect{e}_2+a_{32}\vect{e}_3, \\
A\vect{e}_3&=a_{23}\vect{e}_2+a_{33}\vect{e}_3
\end{split} \label{eq:A-basis-e2}
\end{equation}と書き直せる。
\(P=\begin{pmatrix}\vect{e}_1&\vect{e}_2&\vect{e}_3\end{pmatrix}\) とおくと \(\vect{e}_i\) は正規直交基底だから \(P\in O(3)\) で、式(\ref{eq:A-basis-e2})はさらに\begin{equation}
AP=P\begin{pmatrix}
1&0&0\\
0&a_{22}&a_{23}\\
0&a_{32}&a_{33}
\end{pmatrix} \label{eq:AP-P}
\end{equation}と書き直せる。

\(A\) が直交行列であることから\[
\begin{pmatrix}
a_{22} & a_{23} \\
a_{32} & a_{33}
\end{pmatrix}\in SO(2)
\]が従う。よって、先の命題によりある \(\theta\) が存在して\[
\begin{pmatrix}
a_{22} & a_{23} \\
a_{32} & a_{33}
\end{pmatrix}=
\begin{pmatrix}
\cos\theta & -\sin\theta \\
\sin\theta & \cos\theta
\end{pmatrix}
\]と書ける。これを式(\ref{eq:AP-P})に代入すれば\[
AP=P\begin{pmatrix}
1&0&0\\
0&\cos\theta&-\sin\theta\\
0&\sin\theta&\cos\theta
\end{pmatrix}
\]が得られる。

上の命題を直観的に説明するなら、「\(SO(3)\) の元は3次元空間の回転を表している。3次元空間の回転には必ず『回転軸』があるはずだからそれを取ってくる。その回転軸と垂直な平面で見ると2次元の回転が出てくるので、議論をそれに帰着させる」という感じだろうか。まあこの記事をここまで読んでいる人ならそこまで言わなくても分かるだろうという感じはある。

この論法は多分 \(SO(2k+1)\) の議論を \(SO(2k)\) に落とすのに使えそうな感じはするが、\(k>1\) に対して \(SO(2k)\) の元を成分でゴリゴリ書いてというのは厳しい気がするので、それ以上はやはり前の記事に書いた一般論が必要になるだろう。

定理. \(SO(3)\) は弧状連結である。
証明. さっきの命題を使えば簡単。

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