外出先で撮った写真をSNSなどにアップロードしたいとき、皆さんはどうしているだろうか。おそらく、ほとんどの人がスマートフォンやタブレット内蔵のカメラを使って写真を撮っていることだと思う。しかし、スマートフォンやタブレットのような携帯端末のカメラが貧弱なので、デジタルカメラで撮った写真をアップロードしたいという場合はどうだろうか。そういう時に使える方法をこの記事でいくつか紹介してみたい。この記事は個々の製品のレビューではないので、製品ジャンルの紹介と一般的なメリット、デメリットの列挙にとどめる。
カメラ本体がWi-Fi対応していれば多分最強なのだろうが、そういうカメラはまだ多くはない。なので、以下ではカメラに依存しない方法を見ていく。
タブレットや一部のAndroid端末の場合(携帯端末の種類に依存する方法)
携帯端末がUSBホスト機能を持っていれば話は楽だ。携帯端末にSDカードリーダーをつないでSDカードから読むか、カメラを直接USBでつないで写真を読み込める。パソコンに写真を取り込むのと一緒だ。
この方法が使えるのはiOSではiPadの仲間に限られる(iPhoneやiPod touchでは使えない)。Android端末では、タブレットは基本的に対応していると思う(例外はあるかもしれない)が、スマートフォンは機種に依存する。
iPadの場合は、30pin Dockの場合(初代~第3世代iPad)は純正のCamera Connection Kit、あるいはサードパーティーの類似製品(カードリーダーに加えてUSBコネクタを備えているもの、SDカード以外のメモリーカードにも対応したものを見かけた)がある。iPad mini、あるいは第4世代以降のiPadの場合は純正のLightning – SDカードカメラリーダーとLightning – USBカメラアダプタが販売されている。Lightningコネクタに繋がるサードパーティー品はまだ見たことがない(秋葉原の路地裏で売られていた怪しげな品を除けば)。純正品はいずれも3000円程度である。写真を取り込む際は、カードリーダーにSDカードを差し込む、あるいはUSBでカメラを接続すると自動的に「写真」アプリが立ち上がり、写真を取り込むことができる。
Android端末の場合はスマホ対応を謳ったカードリーダーや変換ケーブルが販売されている。量販店で見かけたことのある人もいるだろう。安いものだと1000円を切っているものもある。AndroidにはSDカードやカメラから写真を取り込むアプリは(少なくともNexus 7の場合は)標準では付属しないようだ。Nexus Media Importerというアプリ(有償;Nexus Photo Viewerというアプリがお試しとして使えるようだ)がどうやら定番のようなので、筆者はそれを購入した。
この方法のメリットは、
- 既存のメモリーカードを活かせる
- カメラのバッテリー消費量は変わらない
- 安価に済む
である。デメリットは、
- メモリーカードを抜き差しする手間がかかる
- 持ち歩く機器が増える
- スマートフォンで使えるとは限らない
などが挙げられる。
それ以外の大多数の場合(携帯端末の種類に依存しない方法)
携帯端末がUSBホスト機能を持っていない場合はどうだろう。携帯端末と外の機器をつなぐ方法というのはそんなに多くなくて、広く普及していると言えるのはせいぜいWi-FiとBluetoothぐらいだろう。Bluetoothを使ってカメラから写真を転送するというのはあまり聞かないので、Wi-Fiを使って転送するものを見ていこう。
Wi-Fi内蔵のSDカードを使う
SDカードにWi-Fiのアンテナから何やら組み込んで、SDカードに保存した写真をWi-Fi越しにアクセスできるようにした製品がある。Eye-Fiが代表的だが、東芝のFlashAirやTranscendのWi-Fi SDのような他社の類似製品も登場している。PQI Air Cardという、microSD-SD変換アダプターとして働く製品もある。
こういうSDカードには、SDカード自身がアクセスポイントとして働くものと、既存のアクセスポイント(モバイルルーターなど)に接続するものがある。両方のモードで動作する製品もある。スマートフォンからのアクセスには、大抵はメーカーから専用アプリが提供されているのでそれが使える。これらのSDカードは大抵はWebサーバーを搭載しているので、PCからの無線でのアクセスにはWebインターフェースが使える。個々の製品の情報についてはメーカーのWebサイトやWeb上の具体的な製品のレビューに譲る。
モノによっては、Webインターフェースや、起動時の動作をカスタマイズできるものもあるようだ。Flash Airはなんだか知らないがAPIが公開されている。PQI Air Cardは起動時にシェルスクリプトを走らせられるらしい。
この方法のメリットは、
- カメラ+SDカードとスマートフォンの他に特別な機器を持ち歩く必要がない
- 転送時にカメラからSDカードを抜き差しする必要がない
という点である。デメリットは、
- 既存のSDカードを生かせない
- カメラのバッテリー消費量が増える
- SDカードがアクセスポイントとなる場合は携帯端末側のWi-Fi接続先を切り替える必要がある
- 容量のバリエーションが少ない
などが挙げられる。
筆者はこのうち、TranscendのWi-Fi SDカードを使っている。SDカード自身がアクセスポイントとして働くモード(ダイレクトシェアモード)のほか、既存のアクセスポイントを3つまで登録することができる(インターネットモード)。既存のアクセスポイントにつながらなかった場合はダイレクトシェアモードになる。遭遇した問題点は
- 買った当初は、Wi-Fi接続が1回でうまくいかないというかなり使い勝手に関わる問題があった(その後のファームウェアアップデートで解消された)
- おそらく(PC側OS/カードリーダーとの)相性の問題だろうが、特定のカードリーダーで読み込みが異様に遅い場合がある
- これも相性だろうが、Pocket Wifi (GL02P)に繋がってくれない(自宅の回線には繋がった)
などである。こういった相性問題が他社の類似製品でも起こるのかは筆者は知らない。
Wi-Fi接続のできるカードリーダーを使う
AirStashが代表的だが、最近は他社の類似製品もいろいろ出てきた。筆者が耳にしたことがあるのはPQIのAir Drive、SonyのWG-C10,WG-C20、プリンストンのToaster Pro、TAXANのMeoBank SD Plusなどであるが、探せば他にもあるだろう。
これらの製品群(Wi-Fiストレージとかポータブルワイヤレスサーバーとか呼ばれるようだ)は、ただのWi-Fiカードリーダーとしての機能ではなくて、付加機能を搭載していることが多い。具体的にどういう付加機能があるかはもちろん製品に依存するが、例としては
- Wi-Fiアクセスポイントとして働くか、既存のアクセスポイントに繋がるか
- Wi-Fiアクセスポイントになる場合、ホテルなどの有線LANを無線化できる
- USBを使ってパソコンにつなぐ(PC用カードリーダーとして動作)
- SDカード以外のメモリーカードへの対応
- USBホスト(USBメモリなどを接続できる)
- モバイルバッテリー
などがある。どうせならSIMカードを差し込んでモバイルルーターとして使える製品があってもいい気がするが、残念ながら聞いたことがない。
メリットは、
- 既存のメモリーカードを活かせる
- カメラのバッテリー消費量は変わらない
である。デメリットは、
- メモリーカードを抜き差しする手間がかかる
- カードリーダーがアクセスポイントの場合、接続先を切り替える手間がかかる
- 持ち歩く&充電を気にする機器が増える
という点である。
筆者はこのジャンルの製品を持っていないので、個々の製品についてあまり突っ込んだことは書けない。