プログラムにバグはつきものです。強力な型システムを備えている Haskell でもそれは同じです。この記事では、 Haskell プログラムのデバッグ手法をいくつか挙げてみます。
なお、使用している GHC は 8.2.2 です。より新しいバージョンで追加されるであろうより便利な機能は、この記事の対象外です。
プログラムにバグはつきものです。強力な型システムを備えている Haskell でもそれは同じです。この記事では、 Haskell プログラムのデバッグ手法をいくつか挙げてみます。
なお、使用している GHC は 8.2.2 です。より新しいバージョンで追加されるであろうより便利な機能は、この記事の対象外です。
コンピューター上で実数を取り扱うには、いくつかの方向性がある。普通は浮動小数点数によって近似することが多いと思うが、多倍長計算を始めとする、「コストをかけてでも正確に」計算するという方向性もある。
そのような「正確に取り扱える」実数のクラスとしては、整数(多倍長整数)や有理数はある程度普及していると思う(標準で備えているプログラミング言語がある)。それよりも広いクラスとして、代数的実数、つまり(整数または有理数係数)代数方程式の根となるような実数全体、というものがある。
代数的実数が計算機で取り扱えるということ自体は割と知られた事実だと思うが、実装は割と大変で、工夫の余地がある。有理数のように「GCD さえ実装すればよい」というものではない。
かくいう私も最近までその辺を真面目に勉強しようとは思っていなかったわけだが、何となくモチベーションが湧いてきたので、代数的実数に関するアルゴリズムを勉強しつつまとめたものを記事として Web 公開してみようかと思った次第である。
実装には筆者の好みで、 Haskell を使う。実際のところ、 Haskell による代数的実数の実装は既にあるようだが、まあ気にしない(自身の勉強が主目的なので)。
というわけで、以下のページで公開している:
https://miz-ar.info/math/algebraic-real/
「週刊」と名乗っているが、毎週末に更新することを目指している。果たしていつまで続くかは不明である。 続きを読む
Haskell で CGI を書いてみよう。 続きを読む
以前の記事に書いたように、 Haskell 標準の Num クラスには色々と不満がある:
結論としては「過去に遡って Num クラスの定義を変えるしかない」だったわけだが、時間干渉も因果律への反逆もできない我々としてはその選択肢は現実的ではないので、独自の Num クラス(オレオレ Num クラス)を作ることにする。この記事は、筆者がオレオレ Num クラスを作った際に考えたことをまとめたものである。
Haskell での並列プログラミングをマスターしたい、とは言わないが、「全然わからない、俺たちは雰囲気で並列プログラミングをやっている」程度のことは言えるようになりたい。
今回は「データ構造の各要素を並列で評価する」ことを目指す。以下の内容は筆者がいい加減な知識で書いているので、そういうつもりでテキトーに読んでほしい。 続きを読む
【2020年4月20日追記】GHCの型レベル自然数については、より網羅的な記事を書いた。型レベル自然数についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事も参照いただきたい:GHCの型レベル自然数を理解する【追記終わり】
最近のGHCでは、自然数をパラメーターとするデータ型を定義できる。固定長リストの長さを型に持たせるとか、行列の大きさを型に持たせるとか、そういうことができる。あるいは、自然数 m に対して Z/mZ を表す型を作ることもできる。m を素数とすればこれは有限体となる。
実際に、型レベル自然数を使って Z/mZ に相当する型を作ってみよう。(名前は FiniteField とした) 続きを読む
Haskell は表現力が高いプログラミング言語だが、気をつけないと非効率的なコードが生成されてしまうことがある。では、どういうところに気をつければ高速なコードになるのか。少し調べてみた。
この記事に書くのは、あくまで原則とかそういうやつなので、コンパイラーの最適化(正格性解析、インライン化、自動ボックス化解除)によっては、自前で工夫しても意味がない、つまり、コンパイラーに任せた場合と同じ結果になるかもしれない。どういう場合に早くなるかはケースバイケースなのだ。 続きを読む
Haskell には Num という型クラスがあって、足し算とか掛け算の基本的な演算はここで定義されている。標準ライブラリで定義されているインスタンスとしては、 Int, Integer, Rational, Complex a などがある。
一言で言えば Num クラスは環っぽいものに対応するのだが、いろいろとアレな点がある。これを設計した人は、インスタンスとして整数、有理数、浮動小数点数、複素数くらいしか想定していないのではないか。 続きを読む
Cabalを使ってHaskellのパッケージ管理をやっていると、依存関係がもつれて酷い事になる。あるプロジェクトで使うパッケージと別のプロジェクトで使うパッケージが干渉したりとかなんかそういうアレだ。こういう時はsandboxを使うと良いらしい。マニュアル
自分のプロジェクトのディレクトリで
$ cabal sandbox init
を実行すれば、新しいsandboxができる。何かパッケージを入れようと思ったら、そのディレクトリで普通に
$ cabal install ほげほげ
を実行すればそのパッケージはそのディレクトリに入る。
sandbox内のパッケージを使ってghciを起動したい場合は、
$ cabal repl
を使う。
sandbox内のパッケージを使ってghcやrunghcなどのコマンドを叩きたい場合は、1.20.0で追加された(?)execコマンドを使うといいようだ。
$ cabal exec ghc -- --make hogehoge.hs
この記事はcabal-install 1.21.0.0の時点の情報をテキトーに調べた結果を書いたので、もしかしたらもっと正しい使い方とかあるのかもしれないが、そんなもん知らん。
(9月21日: typoを修正)