「たのしい複素積分」や「わくわく解析接続」では、マウス(またはタッチ操作)の入力から曲線を構成する際に Catmull-Rom スプライン曲線を使っている。この Catmull-Rom スプライン曲線についてのメモを書いておく。あくまで備忘録であり、 Catmull-Rom スプラインを知らない人向けの記事ではない。 続きを読む
「プログラミング」カテゴリーアーカイブ
逆双曲線関数と逆三角関数の branch cut
逆双曲線関数と逆三角関数をナメてかかっていたら落とし穴にはまったので、ブログ記事としてまとめておく次第である。 続きを読む
浮動小数点数による複素数の演算に関する注意点
コンピューターで複素数を表す時は、通常は実部と虚部の組をそれぞれ浮動小数点数として持つ。
複素数の演算は、数学的には 続きを読む
Lua で遊ぶ浮動小数点数
(倍精度)浮動小数点数でいろいろ遊ぶ際に、 Lua が便利なのではないかと思った。以下、特に断らない限り「浮動小数点数」と言ったら倍精度のものを指す。
なぜ Lua を使うのか?
Lua はC言語で実装されていて、数値の扱いについてはC言語と近い挙動を示すと考えられる。C言語と違って累乗の演算子 (x^y
) があるのが地味に便利である。
Lua 5.2 以降では、浮動小数点数の16進表記をサポートするようになった。ソースコード中にリテラルで 0x1.fp2
と書けるし、文字列から数値に変換するときに tonumber("0x1.fp2")
と書けるし、数値から文字列に変換するときは %a
または %A
を使って string.format("%a",7.75)
と書ける。
あとは、標準ライブラリに足りない機能があったときに簡単にC言語で拡張ライブラリを書ける。
浮動小数点数の関数とオーバーフロー
大抵のプログラミング言語には指数関数 exp や三角関数 sin, cos, tan などの初等関数が用意されている。これらの関数はよく使うので、標準に用意されているというのは合理的だろう。しかし、初等関数の組み合わせで書けるような関数がわざわざ専用の関数として用意されている場合がある。 続きを読む
Haskell で高速なプログラムを書くときに注意すること
Haskell は表現力が高いプログラミング言語だが、気をつけないと非効率的なコードが生成されてしまうことがある。では、どういうところに気をつければ高速なコードになるのか。少し調べてみた。
この記事に書くのは、あくまで原則とかそういうやつなので、コンパイラーの最適化(正格性解析、インライン化、自動ボックス化解除)によっては、自前で工夫しても意味がない、つまり、コンパイラーに任せた場合と同じ結果になるかもしれない。どういう場合に早くなるかはケースバイケースなのだ。 続きを読む
Haskell の Num クラスに対する不満
Haskell には Num という型クラスがあって、足し算とか掛け算の基本的な演算はここで定義されている。標準ライブラリで定義されているインスタンスとしては、 Int, Integer, Rational, Complex a などがある。
一言で言えば Num クラスは環っぽいものに対応するのだが、いろいろとアレな点がある。これを設計した人は、インスタンスとして整数、有理数、浮動小数点数、複素数くらいしか想定していないのではないか。 続きを読む
Picked up JAVA_TOOL_OPTIONS: を擬似的に消す
昔話
その昔、Mac OS X で java
コマンドを起動するとターミナルが UTF-8 であってもメッセージがシフトJISで出力されて文字化けしてしまうという時代があった。
java
コマンドの起動時に -Dfile.encoding=UTF-8
をつければ出力が UTF-8 になるが、毎回指定するのは面倒くさい。
そんな時、人々は JAVA_TOOL_OPTIONS
という環境変数を -Dfile.encoding=UTF-8
に設定したものだ。
そうすれば、確かにメッセージは UTF-8 で出力される。されるのだが…。
Picked up JAVA_TOOL_OPTIONS: -Dfile.encoding=UTF-8
という余計なメッセージまで出力される。うるさい。
…というのは過去の話で、最近の Java を Mac 環境で使う分には JAVA_TOOL_OPTIONS
を指定しなくても出力が UTF-8 になるので、特に問題はない。(確か、環境変数 LANG
を読むはず)
2016年の話
残念なことだが、2016年にもなって、コマンドライン環境で UTF-8 以外のマルチバイトエンコーディング(シフトJISとか)が広く使われている環境が存在する。そういう環境に UTF-8 なターミナル(MinTTY とか)を用意してやっても、デフォルトでは java
はシフトJISでメッセージを吐いてくる。したがって、そういう環境で java コマンドのメッセージの出力を UTF-8 にしたい場合は、 JAVA_TOOL_OPTIONS
に -Dfile.encoding=UTF-8
を指定する必要がある。
まあ、 UTF-8 以外のマルチバイトエンコーディングが広く使われている環境が存在するのは仕方がない。受け入れるしかない。しかし、Picked up JAVA_TOOL_OPTIONS: が出てくるのはなんとかしたい。
このメッセージの出力を抑制できないならば、せめて「見えないように」する方法があるのではないか。つまり、 Picked up JAVA_TOOL_OPTIONS: が印字された後に、空白文字で上書きする…!
つまり、こうだ:
JAVA_TOOL_OPTIONS=$'\r-Dfile.encoding=UTF-8\r \r'
$'ほにゃらら'
というのは、 bash にエスケープ文字を解釈させる文法だ。この記事に関心を持つような人ならば何をやっているか分かるだろう。
キャリッジリターンとか言ってないで ANSI escape を駆使すれば空行すらなくせるかもしれないが、残念ながらそういうのはキャリッジリターン \r
と違い、オプション解釈の際に空白として読み飛ばされない。
真面目な話
ドヤ顔でキャリッジリターンとか書いてみたものの、実際に使ってみると表示が崩れる場合が散見されるので、常用するのはやめたほうがよさそうである。
総合的に考えると、次のようなシェル関数を書いて対応するのがベストかと思われる。(シェルで単独で java
を叩いた場合は Picked up … が表示されず、間接的に起動された場合は Picked up … が表示される。)あるいは、シェルスクリプトでラップしてやるという手も考えられる。
export JAVA_TOOL_OPTIONS=-Dfile.encoding=UTF-8
function java() {
env JAVA_TOOL_OPTIONS="${JAVA_TOOL_OPTIONS/-Dfile.encoding=UTF-8/}" java -Df
ile.encoding=UTF-8 "$@"
}
function javac() {
env JAVA_TOOL_OPTIONS="${JAVA_TOOL_OPTIONS/-Dfile.encoding=UTF-8/}" "${JDK_P
ATH}/javac" -J-Dfile.encoding=UTF-8 "$@"
}
何をやっているかというと、 java
という名前のシェル関数で、「環境変数 JAVA_TOOL_OPTIONS
から “-Dfile.encoding=UTF-8
” という文字列を削除」「java コマンドに -Dfile.encoding=UTF-8
オプションを渡す」ということをやっている。bash 以外のシェルでは違う書き方が必要になるだろう。
余談
余談だが、ドットネット系のプログラムは、コマンドプロンプトで chcp 65001
をすると出力が UTF-8 になるようだ。UTF-8 なターミナルから MSBuild
とか csc
とかを叩くときに覚えておくと良いだろう。(Windows の Java も GetConsoleOutputCP
で出力文字コードを判断してくれれば良かったのだが…)
たのしい複素積分
1年近く前に、複素積分をインタラクティブに行える Web ページ(Web アプリ?)を作ったのだが、ブログでの紹介がまだだった。
Windows で JDK のインストール先を取得
Windows に JDK を入れた時のインスートル先のディレクトリというのは、バージョンによって変わる。これを機械的に取得したい。
環境変数の類は設定されない(公式のマニュアルに、手動で設定する方法が書かれてるくらいだし)ようだが、レジストリを見ればパスを取得できる。
Stack Overflow の質問には reg
コマンドを使った回答が付いているが、Windows の場合こういうのはバッチファイルで書くよりも WSH を使った方が文字列処理等がすっきりするだろう。
というわけで書いてみた。
var WshShell = WScript.CreateObject("WScript.Shell");
var JDKKey = "HKLM\\SOFTWARE\\JavaSoft\\Java Development Kit\\";
var CurrentVersion = WshShell.RegRead(JDKKey + "CurrentVersion");
var JavaHome = WshShell.RegRead(JDKKey + CurrentVersion + "\\JavaHome");
var JDKBin = JavaHome + "\\bin";
WScript.Echo(JDKBin);
このファイルを例えば showjdkpath.js
という名前で保存して、 CScript /nologo showjdkpath.js
と実行すれば、標準出力に javac の場所が出てくる。