プログラミング」カテゴリーアーカイブ

Xcode/Cocoaで始めるモダンOpenGL

モダンなOpenGLを勉強したいと思い立ったので、「OpenGL 4.0 シェーディング言語 実例で覚えるGLSLプログラミング」(原著は OpenGL 4 Shading Language Cookbook)という本で少しずつ勉強している。

OpenGL自体はグラフィックスに関するAPIなので、アプリケーションやウインドウの初期化、画像の読み込み等は各プラットフォームで使えるGUIツールキットの力を借りることになる。この本のサンプルコードではQt(キュート)を使っているが、GitHubにあるサンプルコードではGLFWを使っている。

筆者としては、Cocoaで書いているMac向けのアプリケーションでOpenGLを使いたいという目標があるため、サンプルコードもCocoaアプリケーションに組み込む形で試すことにした。 続きを読む

TypeScript における let/const と control flow based type analysis

前にこのブログの記事に書いたように、TypeScript 1.4以降(ターゲットがES5の場合は1.5以降)では let/const による変数宣言ができるようになった。let は書き換え可能な変数で、const は書き換え不可能な変数だ。let 宣言と const 宣言の登場によって、var 宣言は用済みになったと言っていいだろう。

let も const もスコープに関する規則は同じなので、書き換えない変数に対して let と const のどちらを使っても違いはないはず。そう思って、個人的に書いているコードでは文字数を重視して常に let の方を使っていた。

しかし、 TypeScript 2.0 で導入された control flow based type analysis により、「書き換えない変数に対して let と const のどちらを使っても違いはない」とは言ってられなくなった。 続きを読む

Haskell (GHC) の型レベル自然数とリフレクションを試してみる

【2020年4月20日追記】GHCの型レベル自然数については、より網羅的な記事を書いた。型レベル自然数についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事も参照いただきたい:GHCの型レベル自然数を理解する【追記終わり】

最近のGHCでは、自然数をパラメーターとするデータ型を定義できる。固定長リストの長さを型に持たせるとか、行列の大きさを型に持たせるとか、そういうことができる。あるいは、自然数 m に対して Z/mZ を表す型を作ることもできる。m を素数とすればこれは有限体となる。

実際に、型レベル自然数を使って Z/mZ に相当する型を作ってみよう。(名前は FiniteField とした) 続きを読む

XSLT メモ

自分の Web サイトの (X)HTML ファイルの一部を XSLT で処理しているので、それについてのメモ。

例えば、 https://miz-ar.info/math/singularity/ のソースを表示させると、要素間の空白や改行が全くないが、この「要素間の空白や改行を削除する」処理は XSLT で行なっている。エディターで編集する元ファイルには編集しやすいようにちゃんと改行やインデントが入っている。

XSLT という技術(少なくとも、現行の1.0/2.0)は HTML5 と親和性が高いとはお世辞にも言えず(具体的には、 <xsl:output> で <!DOCTYPE html> を出力するように指定できない)、これを2016年に使うのはどうなのかという心の声が聞こえるが、まあ気にしないことにする。(ちなみに、 XSLT で <!DOCTYPE html> を出力する方法自体は、“xslt html5” で検索すれば出てくる。あるいは、 about:legacy-compat を使うのでも良いだろう。)

XSLT の規格:

空白を削除する

エディターで編集するときはインデントとかの都合で要素間に空白を入れたいが、実際に使うときは要素間の空白を入れたくない場合。 <xsl:strip-space> を使うと良い。

<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<xsl:stylesheet xmlns:xsl="http://www.w3.org/1999/XSL/Transform" version="1.0">
  <xsl:output method="xml"
              encoding="UTF-8"
              />
  <xsl:strip-space elements="*" />
  <xsl:template match="comment()">
  </xsl:template>
  <xsl:template match="@*|node()">
    <xsl:copy>
      <xsl:apply-templates select="@*|node()"/>
    </xsl:copy>
  </xsl:template>
</xsl:stylesheet>

特定の<script>要素のsrc属性を書き換える

<script src=”main.js” /> を <script src=”main.min.js” /> に書き換える例。

<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<xsl:stylesheet
    xmlns:xhtml="http://www.w3.org/1999/xhtml"
    xmlns:xsl="http://www.w3.org/1999/XSL/Transform"
    version="1.0"
    >
  <xsl:output method="xml"
              encoding="UTF-8"
              />
  <xsl:template match="//xhtml:script/@src[string()='main.js']">
    <xsl:attribute name="src">main.min.js</xsl:attribute>
  </xsl:template>
  <xsl:template match="@*|node()">
    <xsl:copy>
      <xsl:apply-templates select="@*|node()"/>
    </xsl:copy>
  </xsl:template>
</xsl:stylesheet>

Catmull-Rom スプライン曲線についてのメモ

たのしい複素積分」や「わくわく解析接続」では、マウス(またはタッチ操作)の入力から曲線を構成する際に Catmull-Rom スプライン曲線を使っている。この Catmull-Rom スプライン曲線についてのメモを書いておく。あくまで備忘録であり、 Catmull-Rom スプラインを知らない人向けの記事ではない。 続きを読む

Lua で遊ぶ浮動小数点数

(倍精度)浮動小数点数でいろいろ遊ぶ際に、 Lua が便利なのではないかと思った。以下、特に断らない限り「浮動小数点数」と言ったら倍精度のものを指す。

なぜ Lua を使うのか?

Lua はC言語で実装されていて、数値の扱いについてはC言語と近い挙動を示すと考えられる。C言語と違って累乗の演算子 (x^y) があるのが地味に便利である。

Lua 5.2 以降では、浮動小数点数の16進表記をサポートするようになった。ソースコード中にリテラルで 0x1.fp2 と書けるし、文字列から数値に変換するときに tonumber("0x1.fp2") と書けるし、数値から文字列に変換するときは %a または %A を使って string.format("%a",7.75) と書ける。

あとは、標準ライブラリに足りない機能があったときに簡単にC言語で拡張ライブラリを書ける。

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浮動小数点数の関数とオーバーフロー

大抵のプログラミング言語には指数関数 exp や三角関数 sin, cos, tan などの初等関数が用意されている。これらの関数はよく使うので、標準に用意されているというのは合理的だろう。しかし、初等関数の組み合わせで書けるような関数がわざわざ専用の関数として用意されている場合がある。 続きを読む

Haskell で高速なプログラムを書くときに注意すること

Haskell は表現力が高いプログラミング言語だが、気をつけないと非効率的なコードが生成されてしまうことがある。では、どういうところに気をつければ高速なコードになるのか。少し調べてみた。

この記事に書くのは、あくまで原則とかそういうやつなので、コンパイラーの最適化(正格性解析、インライン化、自動ボックス化解除)によっては、自前で工夫しても意味がない、つまり、コンパイラーに任せた場合と同じ結果になるかもしれない。どういう場合に早くなるかはケースバイケースなのだ。 続きを読む