海外デビュー
特定の技術について関心を持った人が集まって交流する会が開かれることがあります。関数型言語で言うと、今年の6月に「関数型まつり」という国内イベントが開かれました。もっとStandard MLにフォーカスした集まり、あるいは、国際的な集まりとなると、ML Family Workshopがあります。
ML Family Workshopは、関数型プログラミングに関する国際会議であるICFP (International Conference on Functional Programming) に付属して開催されるワークショップで、その名の通りStandard MLに限らず、ML系と呼ばれるプログラミング言語群(OCaml, F#等)も対象としています。きっちりした査読等はなく、比較的ゆるい感じのようです。
ICFPは今回はSPLASH (International Conference on Systems, Programming, Languages and Applications: Software for Humanity) という会議と合同で開催され、全体では1週間ほどあります。ML Family Workshopは10月16日の1日の開催で、私もその日だけの参加としました。
(OCamlについてはOCaml Users and Developers Workshopというイベントもあり、これもICFPと併設です。日付が重ならないように(隣になるように)配慮されているほか、(おそらくOCamlの方が人気なので)OCamlの枠に収まらなかった発表がML Familyの方に回されることもあるようです。)
LunarMLの開発を何年も続けていて、スター数もそこそこあるので目に留まりやすくなったのか、今年の前半に「今年のML Family Workshopで発表しないか」というお誘いをいただきました。ICFPは毎回開催場所が異なり、今年は10月にシンガポールでの開催でした。
LunarMLの開発は大学や企業での研究開発ではなく個人の趣味なので、渡航して発表するとなっても旅費は自腹となります。しかし、シンガポールなら日本から見て比較的近いと思われた(アメリカやヨーロッパよりは、という意味です)ので、現地参加することにしました。一応リモート発表の選択肢もありましたが、他の人との交流のことを考えると一回くらい現地で参加してみたいと思いました。
私の場合、参加にあたって重要なのは家族の理解と協力を得ることです。特に、9月に子供が生まれる予定だった(無事に生まれました)ので、私が現地参加すると妻と生後1ヶ月の子供を残していくことになります。他の親族は離れたところに住んでいるので、何らかの方策が必要になります。幸い、妻の実家の協力を得て、私がいない間、妻と子供を実家に滞在させてもらえることになりました。妻と家族には非常に感謝しています。
私にとって海外に行くのは初めてのことでした。パスポートを取って、航空券とホテルを取って、色々準備しました。シンガポールの場合、ビザは要りません。この辺のことは別の記事を書くかもしれません。
もちろん、発表の準備も怠るわけにはいきません。保険として、必要な情報は大体スライドに書いて、英語の発音・滑舌が悪くても内容は伝わるようにしました。
発表
そんな感じで、無事に発表してきました。みなさん非常に温かく、質問やコメントもいくつかいただきました。
発表資料等はML Family Workshopのページにアップロードしました:
動画はYouTubeで見られるようです:
LunarMLはまだまだ発展途上ですが、LunarMLの現状についてまとめる良い機会になりました。
交流
旅費も参加費も高かったですが、最低限の交流はできたと思います。ML Family以外のワークショップ(WebAssembly, Scheme, Haskell等)も同日にあったので、個人で来ていた日本人数名とも交流できました。
名札に「どこから来たか(私の場合はJapan)」も書かれているので、日本在住の外国人にもちょいちょい話しかけられました。日本のどこに住んでいる?みたいな話になるわけですが、もうちょっと話を広げられたらよかったなあと思います。
Haskell界隈の人もちょいちょい見かけました。「I’m a GHC contributor」みたいな感じで自己紹介できたらよかったのかもしれませんが、そこまで頭が回りませんでした。「最低限の交流はできた」と言っても、まだまだ上手く交流する余地はあったということです。
そんな感じで、人と交流するのも良いなあと思った次第でした。
