月別アーカイブ: 2025年3月

数学とプログラムはどちらが易しいか/数学とプログラムの違い

最近、某所で「数学とプログラムはどちらが易しいか」という話題が出ました。その場ではあまり上手い返しができなかったので、ブログ記事の題材にして供養します。

もちろん、この質問の答えは人によって違うでしょうし、人によって違うからこそ質問として意味があると言えるでしょう。この記事に書くのは私の見方、私の意見です。

短い答えが欲しい人向けに2択で答えておくと「私にとってはプログラムの方が易しい」となりますが、以下に長い答えを書きます。

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TypeScript使いの憂鬱:never型はプロパティを持つか

never型とプロパティアクセス

TypeScriptにはneverという型があります。先日も記事にしましたが、簡単に言うとこれは「値を持たない型」です。

never型は、あらゆる型に対してその部分型として振る舞います。例えば、nevernumber の部分型であることは次のコードでわかります:

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never型があると便利か(言語処理系実装者の観点から)

TypeScriptをはじめとするいくつかのプログラミング言語には、never型という型がある。この型は典型的には「制御を返さない関数」の返り値として使われる:

function f(x: string): never {
    console.error(x);
    throw new Error();
}

never型は型システム的には「値を持たない型」「任意の型の部分型」として特徴づけられる。

他のプログラミング言語、例えば私が作っているLunarMLにもnever型があると便利だろうか?

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「インタプリタは機械語に翻訳する」という誤解

プログラミング言語のインタプリタの説明で「逐次機械語に翻訳する」という説明を見かけることがある。ググればそういう説明がたくさん出てくるので具体例は割愛する。

しかし、「機械語に翻訳する」という説明は好意的に言えば「誤解を招く言い方」で、率直に言うと「デタラメ」である。

そういう説明を書く人は、自分でインタプリタを書いたことがあるのだろうか?誰かが書いた間違った説明文をそのまま引き写しているのだろうか?

もちろん、世の中にはJITコンパイルする言語処理系もあるが、それはインタプリタのように使えたとしても「コンパイラ」なのではないか。

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