背理法による証明の例として、よく「\(\sqrt{2}\)が無理数であること」が挙がる。大まかな流れは以下の通りだ:
「\(\sqrt{2}\)が有理数だったと仮定し、\(\sqrt{2}=p/q\)(\(p\), \(q\)は互いに素)とおく。すると\(2q^2=p^2\)で、左辺が偶数なので右辺も偶数、よって\(p\)は\(p=2p’\)と書ける。すると\(q^2=2p’^2\)が得られて、\(q\)も偶数ということになる。これは『\(p\)と\(q\)は互いに素』という仮定に反する。よって、\(\sqrt{2}\)は有理数ではない(無理数である)。」
さて、数学の一部の流儀では使用する論理を制限することがある。構成的数学というのがその例で、大まかには「排中律を使わないような数学」つまり「直観主義論理に基づいた数学」が構成的数学になる(Brouwerの「直観主義」とは違うので注意されたい。あと、構成的数学の中でも選択公理をどの程度認めるかでバリエーションがあるようだ)。「\(\sqrt{2}\)が無理数である」という上記の証明は、構成的数学では受け入れられるのだろうか?
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