星空というのは毎晩同じ姿を見せるわけではない。月は毎日動いていくし、日が経つと惑星も動いていく。たまにしか起きない天文現象もある。流星群、月食、(夜空ではないが)日食などだ。
人生の中で見ておきたい天文現象(というか天体)の一つが、彗星だ。百武彗星やヘール・ボップ彗星の現れた90年代は私はまだ物心がついていなかった。生きているうちに「大彗星」と呼ばれるものを見てみたいものだ。
そういうわけで、地球に接近する彗星の話題は(そこまで熱心でもないが)ある程度キャッチし、チャンスがあれば観測にチャレンジしたいと思っている。
ここ数年でもいくつか彗星がやってきた(というか、私が彗星の情報を追いかけるようになったのがこの数年のことかもしれない)。ネオワイズ彗星(2020年)、レナード彗星(2021年)、ZTF彗星(2023年)、ポン・ブルックス彗星(2024年)。いくつかは私も撮影にチャレンジしたが、ぼやっとした感じにしか写らなかった。「彗星」というからには立派な尾が写って欲しいものだ。私の技術や撮影タイミングが悪かったのかもしれないが……。
そして今年(2024年)の秋にやって来たのが紫金山・アトラス彗星だ。太陽に近づいて崩壊したかも?みたいな情報もあったが、無事に我々の前に姿を見せてくれた。
今回の彗星は9月下旬には明け方の空に、10月中旬には夕方の空に見える。深夜に起きて車を運転して東の空が開けた場所に行ったり、彗星を見るために双眼鏡を買ったり、なんやかんやあったが、ようやく彗星を視認できたのは5回目のチャレンジでのことだった。
そういうわけで、10月13日の日没後に撮影した写真がこれだ:
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ちゃんと尾が写っている。素晴らしい。
その後も日没後の天気を気にかけていたが、次に条件が整ったのは10月20日のことだった。その時の写真:
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これらは街中で撮った写真だ。もっと空の暗いところに行けばもっとよく写ったのかもしれない。
写真には立派に写っているが、裸眼ではぼやっとした感じにしか見えなかった。双眼鏡を使えばもちろん尾が立派に見える。
本音を言うなら、裸眼でも立派な尾が見える「大彗星」が見たかったが、それは高望みしすぎなのだろう。まずは彗星の「尾」を確認できただけでよくやったと思うべきだ。「大彗星」が見たかったら今後も地道に彗星の情報を追いかけていくしかない。